ビデオ会議システムには,遠隔地にいる対話相手を眺めるための窓として機能する窓型システムと,対話相手および自分を映し出す鏡として機能する鏡型システムがある.鏡型システムは遠隔側とこちら側の風景を融合することによって相手と一緒にいる感覚を強化することができるが,相手の映像の手前に物理的な身体が存在しないことが鏡というメタファーに反しているという問題をかかえている.この問題の解決に向けて,ディスプレイの手前に立てた衝立を跨ぐように,相手の動作に合わせて動くようにロボット化した長椅子を設置した.実験の結果,物理的な身体が衝立の向こう側に存在するという感覚を長椅子の動きによって創出可能であると判明した.
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