研究課題/領域番号 |
15K12084
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
池田 聖 立命館大学, 情報理工学部, 任期制講師 (40432596)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 符号化開口 / HMD / 鮮鋭化 / 複合現実感 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Head-Mounted Display (HMD) に対して符号化開口技術を用いて利用者が結像した像を見ることのできる範囲である被写界深度を拡大することである. 上記目的に対して本年度は(2) 注視位置を固定した実証システムの試作,(3) 被験者実験による被写界深度拡大の効果を確認することが計画であった.以下,それぞれの実績概要を説明する. (2)注視位置を固定した実証システムの試作:被写界深度の拡大が観測できるシステムを構築した.利用者の視界内で注視方向および奥行きが大きく変化しないという簡単化された条件下において効果を確認できるシステムを構築した.具体的には、被験者が特定の奥行きを注視した上で,それとは異なる奥行きに表示面が配置されるようにディスプレイを設置した.眼前に、符号化開口の設置上で画像の鮮鋭化を行った場合にのみディスプレイに表示された何らかのパターンが焦点ボケせずに視認できる構造にした. (3)被験者実験による被写界深度拡大の確認:被写界深度が拡大されていることを確認できる評価法を検討し,提案法の有効性が確認できる実験法を設計した.本実験では、上記実証システムにおけるディスプレイ上と注視ターゲット上に異なるパターンを提示し,両パターンが同種のものであるか否かを被験者に回答させる方法とした.一方で,裸眼時の被写界深度の外に配置されたディスプレイの表示内容が視認できるかどうかを評価し,鮮鋭化画像を提示し符号化開口を設置する提案法の方が,それらを行わない従来法に比べて有意に高い確率で視認性が向上することは確認できなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績で述べた通り,当初計画では本年度中に(2)注視位置を固定した実証システムの試作,および,(3)被験者実験による被写界深度拡大の確認を実施する予定であったが,本年度は実証システムの試作および被験者実験法の設計のみにとどまった.昨年度メキシコで開かれた国際会議で本研究成果の一部を展示する際に機器の輸出入でトラブルが生じ遅延したことと当該機器が故障したため,使用できない状態が半年近く続いたことによる.そのため本年度計画していた研究課題の実施が遅れた.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,遅延していた被験者実験を実施し研究をまとめる予定である.具体的には,研究課題(3)である被験者実験による被写界深度拡大の確認を実施する.半年程度時間に余裕ができたため被写界深度が拡大されていることを確認できる評価法を再度詳細に検討し,提案法の有効性が確認できる実験法を改善する.裸眼時の被写界深度の外に配置されたディスプレイの表示内容が視認できるかどうかを評価し,鮮鋭化画像を提示し符号化開口を設置する提案法の方が,それらを行わない従来法に比べて有意に高い確率で視認性が向上することを確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在までの進捗状況に述べたとおり,研究課題実施の遅延のために計画していた実験ができなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
主には,被写界深度が拡大されていることを確認できる実証システムの改善,研究成果発表のための会議参加費用および海外渡航費用,被験者への謝金等,論文の英文校正費用,掲載費用に使用する.
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