研究実績の概要 |
指に装着して皮膚に密着でき, かつ指の動きを妨げない大きさで, 3次元空間で自由に使用できる指触覚呈示デバイスを検討し, 設計を行った. そのデバイスは, 指装着部, 触覚生成デバイスの固定フレーム, 触覚生成デバイスから構成されるように設計した. 指装着部, 触覚生成デバイスの固定フレームは, 3次元CADで設計し, 3Dプリンタにより試作し, 高精度に作成することができた. 触覚生成デバイスは, 圧電方式を採用し, 人間の2点弁別閾に近い距離で刺激が生成できるように, MEMS技術を用いて設計した. 設計は, 2段階に実施した. 1)力生成部の剛性を保つために, 基板のSiの厚みを触覚呈示時の応力から求めた. 2)力生成部の形状や圧電膜の積層数を変化させて, 指の変形量を圧電解析で計算した. その解析より, 触覚呈示に必用な, 指内の受容器を刺激可能となる, 力生成部の形状や圧電膜の積層数を求めることができた. 触覚生成デバイスは, MEMS技術により作成するため, その作成プロセスを検討し, 作成が可能であることを確認した. そして, このデバイスは高性能の圧電膜を成膜することが重要であるため, DC対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて成膜条件の最適化を実施した. 成膜条件は, 結晶構造分析, 膜の成分分析, カンチレバーによる振動特性評価により検討した. 現在は, 必用な結晶構造が成膜できるようになってきているが, 振動特性が不足であり, さらなる検討を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
指に装着して皮膚に密着でき, かつ指の動きを妨げない大きさで, 3次元空間で自由に使用できる指触覚呈示デバイスを検討できた. そのデバイスは, 指装着部, 触覚生成デバイスの固定フレーム, 触覚生成デバイスから構成されるように設計できた. 指装着部, 触覚生成デバイスの固定フレームは, 3次元CADで設計し, 3Dプリンタにより試作し, 高精度に作成することができた. 触覚生成デバイスは, 圧電方式を採用し, 力生成部の剛性を保つために, 基板のSiの厚みを触覚呈示時の応力から求めることができた. また, 力生成部の形状や圧電膜の積層数を変化させて, 指の変形量を圧電解析で計算した. その結果, 触覚呈示に必用な, 指内の受容器を刺激可能となる, 力生成部の形状や圧電膜の積層数を求めることができた. 触覚生成デバイスは, MEMS技術により作成するため, その作成プロセスを検討し, 作成可能性を検討できた. このデバイスの重要点である, 高性能の圧電膜を成膜すため, DC対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて成膜条件の最適化を実施した. 成膜条件は, 結晶構造分析, 膜の成分分析, カンチレバーによる振動特性評価により検討した. 現在は, 必用な結晶構造が成膜できるようになってきている.
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今後の研究の推進方策 |
触覚生成デバイスを試作する. まず, 高性能の圧電膜を成膜すため, スパッタリング装置を用いて成膜条件の最適化を実施する. 成膜条件は, 結晶構造分析, 膜の成分分析, カンチレバーによる振動特性評価により検討する. 次にデバイスを試作する. それは, 個々の触覚生成デバイスを動作させるために, パターニングを行いながら電極膜と圧電膜を交互に積層し, ベースのSi基板の厚みを35μmに調整し, 動作するようにSi深掘りエッチングにより動作部の輪郭を切り離す.この作業により試作が完了する. 触覚生成デバイスを, 触覚生成デバイスの固定フレームに固定し, 指装着部や刺激を生成するカーボン棒を組み立てることにより, 指触覚呈示デバイスを組立てる. 圧電方式の触覚生成デバイスをパーソナルコンピュータから制御するためには, 電圧制御回路が必用となる. その圧電制御回路を試作する. 圧電制御回路を用いて, 指触覚呈示デバイスの動作を確認する. まずは, 形状パターンを人間に呈示できるかを確認し, 研究会などでデモンストレーションを実施する.
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