研究実績の概要 |
本研究では,参加者が演劇ワークショップを繰り返すことで,題材の理解を深化させ,それをエージェントによる再現可能なミニストーリーとして部品化し,再利用可能な解釈アーカイブとして集積し,コミュニケーション基盤の初期段階開発のための資源として活用できるようにするための構成的考証法の基礎作りに取り組む. 平成27年度は,システムのプロトタイピングとワークショップによるフィージビリティスタディを行った.ワークショップでは,各参加者に題材となるテキストを予習してもらった上で,登場人物の役を一つ割り当て,その視点からの解釈を演劇として表現してもらう.この様子を,Kinectによるグループ演技キャプチャシステムでキャプチャし,得られた各参加者の行動を会話エージェントに投影し,没入型インタラクション環境に表示し,客観視点と主観視点を切り替えながら討論できるようにした. 資料をもとに議論をする議論フェーズ(30 分程度), 議論の結果を踏まえて演劇を行う演技フェーズ(20 分程度), 自分たちの演技をエージェントに再生させることで客観視点や他者の主観視点から演技を確認できる演技投影フェーズ(10 分程度)からなる予備実験を行った.演技フェーズでは,演技行動のみ,コメント行動のみ,アイドリング行動のみ,セリフのみ,演技行動+ think aloud,演技行動+セリフ,演技行動+コメント行動,アイドリング行動+セリフ,アイドリング行動+コメント行動の9個のパターンの行動が観察され,演技による議論の深化,主観/客観視点の比較に基づくイメージ変化,主観視点の交代による内面理解,演技による暗黙的な意見表出などによる,理解の深化が観察された.
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