本研究の目的は (1)コミックコンテンツのコード化に関する理論的枠組みの実現、(2)コミックコンテンツに対するインタラクティブな情報アクセス手法の実現、(3) 質問応答・要約等のアプリケーションの試作である。2017年度はこれまでに行ってきた (1) の取り組みをもとに(2)と(3) の取り組みを行った。 (2)については、内容に関する検索を可能にすることを目的として、エゴグラムに着目し、コミックの内容に言及したテキスト集合をWEBから収集して登場キャラクターの性格的特徴を判断し、それに基づいて類似したキャラクターを検索する手法を考案した。この手法を用いることにより、「熱血漢」や「クール」といったキャラクターの特徴に基づく検索や、登場人物の構成に基づく作品の類似判定などが可能になった。本研究の成果は査読付き国際会議に採録された。 また,コミックにおける画像とテキストの相補性に着目し,言語と画像を組み合わあせた可視化手法,および,言語と画像間での評価値の伝搬手法について開発を行った.入力された言語情報に対して,コミックから学習した「言語特徴-吹き出しモデル」に基づいて発話のニュアンスを可視化する吹き出しを推薦する技術について査読付き学術雑誌に採録された.言語と画像間での評価値の伝搬方法については,査読付き国際会議1件,査読付き研究会1件,国内研究会1件の発表を行った. (3)については、シーンを考慮した要約の技術として、登場キャラクターの出現頻度に着目したセグメンテーション技術を考案した。TF-IDFをもとに、キャラクタの出現頻度と出現分布からシーンを特定し、約70%の精度でエピソード単位でのセグメンテーションが可能になった。この手法を用いることで、特定のキャラクターのみが登場するエピソードに関する指示的要約を生成することが可能になった。本研究の成果は国内研究会で発表を行った。
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