研究課題/領域番号 |
15K12104
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
小林 一郎 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60281440)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガウス過程 / 潜在状態推定 / 時系列データ / GPLVM / GPDM |
研究実績の概要 |
前年度にGaussian Process Latent Variable Model(GPLVM)に多層パーセプトロンを導入することにより、効率良く、また、推定精度の向上を実現する次元圧縮手法を開発した。これを複数の時系列データから共有する潜在状態を推定するSharedGPLVMに拡張した。異なる次元を有する二つの時系列データに対して共有する潜在状態を推定する場合、それぞれの時系列データの次元を共通の次元に圧縮し、得られたそれぞれの潜在状態の差分を小さくする必要がある。従来のアルゴリズムでは、EMアルゴリズムを用いていることにより、潜在状態とカーネル関数のパラメータの双方を交互に推定する必要があり、効率が良くなかった。それに対して、多層パーセプトロンを導入し、観測状態から潜在状態を推定するメカニズムを導入し、観測状態と潜在状態の同時確率の尤度が最大になるように学習することで収束判定をおこなった。その結果、SharedGPLVMにおいても従来手法よりも効率、推定精度ともに良い手法を確立することができた。しかし、GPLVMは観測状態と潜在状態との直接的な対応関係を推定するものであり、潜在状態におけるダイナミクスは扱っていない。このことから、それを扱うことができるGaussian Process Dynamic Modelsに提案手法を導入し、GPLVMと同様に従来手法よりも効率、推定精度ともに良い手法を提案できた。さらに、その手法をSharedGPDMに拡張し、潜在状態のダイナミクスを考慮した調整を行うことで従来手法よりも効率の良い推定を実現した。これらのように人とロボットの動作の対応関係をとるための基礎的な手法において新しい手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度においては、ロボットに人の動作を真似させるための基礎的な手法の開発に取り組んだ。高次元の複数の時系列データから低次元の共有する潜在状態を推定する手法の開発を進め、GPLVM、SharedGPLVM、GPDM、SharedGPDMの4つの代表的な手法それぞれにおいて、効率、推定精度ともにそれら従来手法を上回る手法を構築することができた。 この成果は、情報処理学会全国大会、人工知能学会全国大会にて報告を行い、IEEESMC2017にすでに論文を投稿している。また、そのほかにも国内会議にて報告を行うつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に進めた高次元で複数の時系列データから低次元の共有する潜在状態を推定する手法をさらに拡張し、時系列データ間の対応関係をとれるようにする。それに対しては、片方の時系列データをもう一方の時系列データへ変換する手法として改良を進め、人の動作とロボットの動作を結びつける手法を構築する。また、提案する手法を実時間で使えることを目指し、より効率のよい推定を実現できるように拡張することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用を予定していた手法のアルゴリズムにおいて、想定していなかった理論的問題点が見つかり、その部分に対してオリジナルのアルゴリズムを構築する必要がでてきてしまったため、当初の研究計画から遅れてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
本来、2年目に進める予定だった時系列データ同士の対応関係の課題に着し、その課題遂行をするために必要な計算機リソースを補充することを中心に研究費を使用する。
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