本研究は空間を自由に配線出来る可塑性を持った有機ポリマー材料を用い、物理的にも柔らかいニューラルネットワークを基礎とした情報回路の作製を目指した。ポリマー配線の成長様式は空間フリーなニューロン成長とネットワーク形成を、また成長制御による抵抗値の変化と保持によってメモリ機能を実現する。 本研究期間の間に、研究開始当初では実現していなかった電極間ワイヤ成長中の電極間抵抗値を計測出来るようになった。またワイヤーの成長様式を変化させることで、抵抗値変化を当初の一桁程度から3桁以上へと大幅な改善を達成した。これはニューラルネットワークをポリマーワイヤーによって形成させるためのテストと学習をくり返過程に絶対必要不可欠な要素である。本萌芽研究では特に溶液内ワイヤ成長のメカニズムを明らかにすると共に、抵抗値の制御について注目し、成長電圧の周波数と振幅、オフセット値がワイヤ径、成長速度、及びワイヤコンダクタンスに与える影響を精査に調べた。結果多数の成長先端が発生する周波数条件を見いだし、安定した抵抗変化と停止したばあいのメモリ効果の両者を満足する条件を創り出すことに成功した。 本研究の成果をもって、基本論理回路であるAND、OR、NOR、NAND回路を、ポリマー成長をさせながら、簡単なニューラルネットワーク機械学習アルゴリズムである単純パーセプトロンアルゴリズムによって、学習させながら形成さることに成功した。
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