本研究では、ロボットの多様化するアプリケーションの中で、安価で臨機応変なロボット製造を可能にする技術として、折り紙構造を拡張したロボットの自動設計アルゴリズムと、デジタル・ファブリケーション技術の創出を目指している。 平成28年度は、おりがみ構造を動的に制御する技術の開発に取り組んだ。動的な構造変化によって、大面積の構造をコンパクトに収納し、必要に応じて展開する機能、折り目を関節としたおりがみロボットの実現などが可能になる。 展開収納が可能なおりがみ構造の開発にあたっては、昆虫の翅の収納・展開に見られる弾性おりがみ構造を模倣したメカニズムの試作を行なった。翅の薄膜は翅脈で支えられ、飛翔時に十分な強度を発揮するが、一方で複雑な折り目パターンを備え、折り畳むことができる。甲虫の翅に注目し、ビデオ撮影やX線計測で調べたところ、体長が1cm以下の甲虫ではもっぱら弾性による展開機構を、体長が5cmを超える甲虫では弾性では展開しない明確なヒンジ構造を持つことが明らかになった。これはセンチメートルスケールのおりがみ構造の設計において示唆を与える。 おりがみロボットの実現にあたっては、折り目を動的に制御することが必要になる。特に、歩行や跳躍などを行なう移動ロボットの実現にあたっては、すばやい動作が必要である。この課題に対して、比較的動作が遅い形状記憶合金ワイヤをアクチュエータとして用いるが、おりがみのような平板の飛び移り座屈という現象を利用することで、すばやい動作が実現できることを示した。
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