研究課題/領域番号 |
15K12116
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
桝田 晃司 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60283420)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音響放射力 / カテーテル |
研究実績の概要 |
本研究では,音響放射力を利用し、直径0.5 mm以下の極細カテーテルの屈曲・誘導の生体応用を目的とした.まず,水中自由空間において,極細カテーテルに働く音響放射力について実験的な検討をした.片持ち梁式で固定したカテーテルに対して音波を照射し,音響放射力の理論と片持ち梁の理論を用いて、極細カテーテルに働く力と波長やカテーテル径の関係を調査した.その結果,波数とカテーテル径の積が2付近で極小値を持つ傾向が示された.また,カテーテルを音軸方向以外に動かす方法についても検討した.高密度集束波を用いることで,500 kPa-pp照射時に音軸に対して垂直方向に直径0.2 mmのカテーテルを約0.8 mm屈曲できることを示され,定在波を利用することで、カテーテル先端方向からの音波照射によってカテーテルを屈曲できることも示された. 次に,内径1 mm程度の人工流路を用いた極細カテーテルの屈曲・誘導実験を行った.極細カテーテルが誘導後に流路の壁面と接触することによる影響を調べた.カテーテルの屈曲に,接触直前の分岐の角度が影響してくることが示された.また,生体と同条件の外部から目視不可能な流路において誘導実験を行った.人工流路にグラファイトを混ぜることで,目視不可能な流路を実現し,超音波ナビゲーションソフトによる位置合わせを行うことで,カテーテルの誘導を確認した.音軸方向に対して上部に45 deg分岐しているような流路において,高密度集束波を用いることでカテーテルを上部の分岐へ誘導できることを確認し,カテーテルの3次元的な誘導ができることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の懸念であった音軸方向に垂直な方向でのカテーテルの変位を確認できたことで、新しい理論構築の目処が立った。前年度までに開発してきた超音波音場形成装置と2次元アレイトランスデューサにより、任意の空間的位置に複数の超音波焦点を形成可能なシステムを用いることによって、従来の単板トランスデューサでは不可能であった音圧値と音圧勾配の両方を任意に設計可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
周波数1 MHz、曲率半径120mmで湾曲した2次元アレイトランスデューサ(256素子)を用いて、音圧位相が互いに逆の2焦点を形成し、電子的な制御によりその位置を時間的に変化させてカテーテルの先端を移動させる検証を行う。2Dアレイによるマイクロバブルの移動は過去に確認しているため、カテーテルの材質と直径との相関を実験と理論の両面から検証する。
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