本研究では,対人的コミュニケーションの能力に関して障碍を抱える自閉症スペクトラム症(ASD)の児童・青年に対して,人と対話するロボットを用いた療育プログラムの開発と支援学校における実証実験,およびそのための人とロボットの対話の分析を行った.ロボットを介して人と対話するための遠隔操作インターフェースを用いたASD者を対象とした面接のフィールド実験および健常者を対象とした統制実験を通じて,人と対話するロボットがASD青年にとって,非言語的な応答を示す相手となるとともに,普段,養育者に開示できていないことを開示する相手になる可能性,そしてそのロボットとの対話を契機とする療育の可能性を示した.
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