本研究では,優れた遊泳能力を有するアフリカツメガエルに着目し,このカエルの生体筋で駆動されるロボットによる遊泳運動能力の実現を目的とする.ロボットは,カエルの後脚の筋骨格構造を再現し,この生体の遊泳時に主要に駆動される排腹筋を駆動源とする.その結果,作製したロボットによる,生体の運動機能の実現を達成し,その遊泳能力に対する生体力学的評価を行うことを主な目的とする.また,この研究で培った技術を一般的なロボットにおける生体筋の利用のための布石にすることも大きな目的としている.通常,ロボット工学において,利用されてこなかった生体由来材料の利用を可能とすることから,ロボット技術のより広い社会還元にもつながり,重要である. 平成29年度には,昨年度の生体力学的評価と知能機械システムとしての高度化に基づき,空気中でも利用可能な生体筋アクチュエータのパッケージングを行った.さらに,カエル型遊泳ロボットのマイコンによる遠隔制御を可能とした.これにより,広いパラメータのばらつき下における,生体力学的検証が可能となる.ここまでで行った,流体力学的評価のためのDPIV(可視化画像流速計測)システムによって,筋骨格構造の働きと流体力学的影響の関係をより深く検証することが可能となる.従来,生理学的溶液中のみで利用の可能だった生体筋アクチュエータをより広汎な環境で利用することが可能となり,生体融合機械システムの新展開につながると期待される.
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