研究課題/領域番号 |
15K12122
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
生田目 美紀 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20320624)
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研究分担者 |
楠 房子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (40192025) [辞退]
稲垣 成哲 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70176387) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 音声情報 / 振動 / 聴覚障害者 / 擬音語 / オノマトペ |
研究実績の概要 |
聴覚障害者は聴覚情報の入手が困難なため生物の鳴き声やその擬音語を経験で学ぶことが難しい.そこでセミの鳴き声を学ぶ理科教材をデザインし,評価実験を行った。この教材は,視覚・聴覚・触覚という複数の感覚に働きかけるようにするため,テキスト・画像・音・音の波形・オノマトペおよび振動で構成したマルチメディア教材である.教育コンテンツは,日本全国に生息する代表的な9種類のセミを取り上げ,その生態と鳴き声を教えるものとした.教材システムは,2つのモニターと,振動スピーカーを利用した振動デバイスで構成した.メインモニターにはセミ画像,セミの生態の説明,鳴き声のオノマトペを提示し,サブモニターにはセミの鳴き声の波形を表示した.振動デバイスからは,振動とセミの鳴き声が提示された.実験期間は平成29年6月27日から7月6日,聴覚障害者26名の協力を得た. 26名の実験協力者を,振動有りと振動無しという2群に分け,セミの鳴き声のオノマトペの学習効果をテストした.学習効果の有意差は見られなかったが,ほぼ全員が学習後はセミとセミの鳴き声(擬声語)を対応させることができるようになった.また,振動がある場合は,音声情報よりも振動を活用していることが分かった.次に,振動有り群を,振動の違いが分かった群と分からなかった群に分けて分析を行った.その結果,振動の判別ができると「おもしろい」「理科教材として使える」と評価していることが分かった.これらの結果から,振動はオノマトペの学習を楽しいものにできる可能性があり,耳の不自由な児童の理科教材としての応用が期待できることが明らかになった. 今年度の研究結果はComputer Supported Education2018において発表し,Communications in Computer and Information Science への掲載論文として選出された.
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