研究課題/領域番号 |
15K12129
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
河野 憲二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 客員研究員 (40134530)
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研究分担者 |
松田 圭司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (50358024)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経科学 / 眼球運動 / 計測装置 / 協調運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトが豊富な視環境の中から処理すべき対象物を抽出し、視線を向けるときに起こる輻輳眼球運動とサッケード運動を調べることにより、実世界環境下で対象物の存在を感じ、眼を向けるための視空間情報処理を明らかにしようとするものである。そのため、輻輳眼球運動とサッケード運動を計測するための高精度の眼球運動計測システムを新たに開発する。この高精度の眼球運動計測システムを用いて実世界環境下で被験者の眼から様々な距離に付置された対象物に視線を移す時の輻輳眼球運動をサッケード運動と同時に計測する。この結果を解析することにより、実世界環境下での視覚情報処理についての新たな知見を得ることを目指している。 平成29年度は、これまで困難とされてきた実験者の指示を理解できない小児や動物(特にトレーニングの難しい動物、マーモセットなど)の眼球位置のキャリブレーションを容易に実施する手法を開発した。マーモセットに用いた計測については、液晶画面にマーモセットの顔画像を提示し、動かすことでマーモセットに眼球運動で画像の動きを追跡させることができ、眼球位置のキャリブレーションが可能となった。小児の眼球運動については、臨床現場で小児の眼球運動を観察している眼科医に本計測装置による実際の計測状況を見てもらい、いくつかの考慮すべき点についてのコメントをもらうことができた。また、ヘルメットにカメラ、赤外線光源をセットし、アゴ台を離れて行動中の眼球運動を計測できるシステムを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験者の指示を理解できない小児や動物(特にトレーニングの難しい動物、マーモセットなど)の眼球位置のキャリブレーションを容易に実施する手法は、今後様々な被験者の輻輳眼球運動とサッケード運動を計測するために必須のものであり、今後の計測に用いることができる。 アゴ台を離れて行動中の眼球運動を計測できるシステムができたことで、当初の目的にある自然な環境下での眼球運動計測システムに一歩近づいたと言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関を延長し、眼と頭の動きを同時計測するヘッドマウント式眼球運動計測システムを完成させ、様々な被験者の自然な環境の中での眼球運動計測を可能にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
一人の被験者で装置を装着し実験を実施してみて、問題点が明らかとなった。現状では、頭部を動かした時のバランスがとりにくいことがわかった。そこで、装置の一部修正を行い、十分に期待される機能が実現できるかを確認するため、追加実験を行う。また再現性を確認するため、他の被験者でも実験する必要ができた。
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