本研究ではまず日本の伝統文化の華道を対象として、華道の「審美眼」について熟練者が作品に対して感じる言語的、論理的に表現困難な「違和感」に着目し、「違和感」を主たる要素に分解し各要素を定量化する方法論を検討した。違和感を検討するために、人が縦横被を変えた絵画や画像に対して感じる違和感、および不可能立体に感じる違和感を検討した。さらに3次元モデリングしたいけばな池坊の生花(しょうか)という様式に対して、その形状に対する熟練者の審美眼について評価を行い、様式に内在する美の要素を検討した。結果として違和感や審美眼といったものは人の記憶に関連する、またトレーニングにより培われていくことを明らかにした。
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