研究課題/領域番号 |
15K12133
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
小松 英彦 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 教授 (00153669)
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研究分担者 |
杉森 順子 愛知工科大学, 工学部, 准教授 (00559891)
岩井 大輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90504837)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロジェクションマッピング / 質感 / 素材知覚 / 現実感 / マカクザル |
研究実績の概要 |
プロジェクションマッピングはさまざまな形状の三次元物体表面にプロジェクタを用いて映像を投影することで、リアルな物体の再現を可能にする技術である。この研究では、実物とそれを模擬したプロジェクションマッピング画像に対するニホンザルの行動を比較した。サルは同じ形をしたさまざまな素材の実物刺激に手を伸ばして触る物体把持課題を行った。物体の形状は円柱状であり、直径は約2センチである。平成28年度はプロジェクタの位置や光路の調整による高解像度化、さらに平面画像を円柱に投影した時に自然なテクスチャ勾配が生じるようにプログラムの修正を行った。また毛で覆われた物体の画像に関しては高解像度化により細部の表現が可能になった。これらの変更により前年度に比べてリアリティがより向上したプロジェクションマッピングが行えるようになった。2頭のサルに実物把持課題を行わせた結果、いずれのサルも素材にかかわらず把持することができた。これは実物の毛に対する反応と異なるため、サルは実物とプロジェクションマッピングによる実物を模擬した刺激を区別していたことを示す。しかし、興味深いことに、プロジェクションマッピングによる実験開始後、この実験の前には触ることを避けていた布素材の実物体を触ったり、毛の実物を把持する力の増加が観察された。この結果は、プロジェクションマッピングによる刺激において、画像からの視覚刺激と実際に触って得られる触覚刺激のミスマッチが、実物に対する行動に影響を与えたことを示唆している。また、サルがプロジェクションマッピングによる刺激と実物を区別した要因の一つの可能性として、物体にリーチングする時に、手によって画像の遮蔽が起こることが考えられるため、複数台のプロジェクタを用いて影を投影結果から除去する研究を進め、動的な遮蔽物による影除去に有効な方法を見出した。
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