研究課題/領域番号 |
15K12135
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
角五 彰 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (10374224)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体分子モーター / 物質輸送 / DNA |
研究実績の概要 |
生体分子モーターはATP の化学エネルギーを細胞運動や物質輸送などへの力学的な仕事へと変換するナノメールサイズの分子機械である。優れた運動効率、高い比出力を備えることから生体分子モーターを動力源としたナノデバイスやバイオアクチュエーターの開発に期待が寄せられている。本研究では多数個から成る生体分子モーター群を自在に操作する基盤技術を開発する。その技術応用として集団で目的の物質を能動的に輸送・集積し、機能的な組織体へと集積するデバイス創製システムを提案する。この能動的な輸送システムにより時間・空間的な拡張性をもった物質集積技術の創出が可能になると期待される。上記の課題を達成するにあたり、1. 分子間相互作用を塩基配列情報に基づいて精密に制御できるDNAを用い、生体分子モーターの群運動発現系および目的物質を補足する方法論を確立する。さらに、2. 光応答性のDNAを導入することで、目的物質の位置選択的な運搬・輸送を実現するプラットフォームを確立することを計画している。マイクロチューブルの群運動を発現させるためには、マイクロチューブル間の相互作用を制御する必要がある。そこで、本年度は一本鎖DNAを用いることで塩基配列に依存したマイクロチューブルの群運動発現を実現してきた。さらに群運動の発現を可逆的に制御するために鎖交換可能なDNA配列の探索も行ってきた。一方で目的物質にもDNAをタグ付けすることで、マイクロチューブルおよび目的物質間に相互に物質認識能を付与させてきた。これまでにマイクロチューブルが輸送できる物質のサイズ、輸送距離、輸送効率、空間的精度の評価を終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は目的物質の位置選択的な運搬・輸送を光により制御可能なシステムを構築することを目標とする。そのために光応答性DNAに対する相補鎖DNAを目的の物質にタグ付けすることで、マイクロチューブルに物質認識・捕捉機能を付与する。また、光(可視光・紫外光)を用いることで位置選択的な特定物質の解離を実現する。実演用の輸送対象物質として、適当なDNAタグ付き蛍光微粒子を用い光応答性DNA修飾マイクロチューブルが輸送できる蛍光微粒子の限界サイズ、輸送距離、輸送効率、空間的精度を評価する。さらに、光照射範囲のスイッチングから標的蛍光微粒子の書き換え(リライタビリティ)可能性についても評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の光応答性試薬の購入に充てるため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に光応答性試薬の購入を予定。
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