研究課題/領域番号 |
15K12136
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村田 智 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10334533)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 分子ロボティクス / 電場駆動型ロコモーション / 電場駆動型分子計算素子 |
研究実績の概要 |
本研究では,DNAナノ構造の電場応答を駆動原理として(1)電場に応答して一方向へデジタル的にステップ移動する分子移動体(電場駆動型ロコモーション)と(2)電場に応答して繰り返し演算が可能な分子計算素子(電場駆動型分子計算素子)を開発することを目標としている.平成27年度の実績としては, (1)について,DNAオリガミの手法を用いて,わずかな非対称性をもつ6つの設置部(足)をもった回転運動体を作製した.またこの移動体に水平電場を印加しながら全反射顕微鏡による一分子蛍光観察が可能な系を開発した.顕微鏡によるリアルタイム観察を可能とするために,専用のホルダーを設計・作製するとともに,さまざまな基盤の材質について検討した結果,最終的にはDNA分子移動体と基盤表面の吸着性を脂質分子の組成で調整可能な脂質2重膜を用いる系を構築した. (2)について,電気力を発生する粒子として,金ナノ粒子を選定し,これが電場の方向に力を発生することで,DNA2重らせんが外れるようなデバイスを考案,作製した.デバイス自体としては電場に抗するように,アクリルアミドゲルにアンカーリングすることにより電場に応答してデハイブリゼーションが起こることが確認できた.DNA2重らせんのはがれ方には2種類あるため,より外れやすいと考えられるアンジッピングの形式を採用した.また電流によるジュール熱発生を抑えるため,電極間の距離やDNAの塩基配列を最適化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)については,一分子の運動をリアルタイムで追跡できる観察系ができた.また, (2)については,電場駆動の原理の確認ができた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)については,一分子の運動をリアルタイムで追跡できる観察系ができたが,マイカ基板上ではほとんどの場合,移動体が完全に固着してしまうことが観察された.今後は基板としてより吸着力の小さい材質を検討していく. (2)については,原理は確認できたが,印加電圧が高くジュール熱が発生することが問題となっている.今後はより低電圧でかい離するような分子設計をすすめていく.
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