研究課題
本研究課題では、転写制御因子とそのターゲット遺伝子群の制御関係が調整因子(モジュレータ)依存的に変化するダイナミクスを記述した確率モデルを観測データから推定し、さまざまな転写制御因子の転写活性を制御するncRNAを網羅的に同定する。これにより、機能性ncRNAを効率的に探索するための転写調節ネットワークアトラスを構築する。平成28年度は以下の進展があった。① 実データを模倣したシミュレーションデータを作成し、データのS/N比を変化させたときの開発手法の精度を検証した。② 検証用に用いるデータベースの更新作業を行った。③ MYC以外の10種類の転写因子に対して、網羅的なモジュレータ探索が可能かどうかの検証を前年度検証した肺腺癌、およびそれ以外の5つのがん種(肺扁平上皮細胞癌、乳癌、肝臓癌、神経膠腫、卵巣がん)の発現データを用いて行った。④ 前年度東大ヒトゲノム解析センターおよび京コンピュータ上に構築した小規模解析パイプラインから、より大規模な解析を行うためのパイプラインに改良した。また、同パイプラインのテストを実施した。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題に必要な解析の要素技術を開発し、研究協力者との共同研究も順調に進めることができた。
前年度までに行った研究成果を踏まえ、新規の機能性ncRNAを同定するための方法論をさらに深化させるとともに、多種多様な機能性ncRNAを同定するための大規模パイプライン、および解析プラットフォームの構築を目指す。また、得られた研究成果を積極的に論文として投稿し、国内外の学会・研究会における研究発表、開発したソフトウェアの公開を通じて、広く社会へ発信する。
平成28年度に本研究課題の推進に必要なデータベースの基盤整備のために人件費・謝金を計上していたが、申請者自らが整備を行ったため、その一部を使用しなかった。
本研究課題は、連携研究者の協力(実験等)をいかに得るかが問題であり、既に連携関係ができている実験系の研究者に加えて、新たに共同研究を探索する必要がある。そこで、研究成果の発表や情報収集のため、国内外の研究集会に積極的に参加する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
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