野生の植物が呈する「固有の遺伝子発現パターン」は、固有の地質や気象、生態系によって形成される固有の生命状態を表し、かけがえのない生物情報である。しかし現在、この生物情報が気候変動によって急速に失われつつある。本研究では、網羅的な遺伝子発現解析(トランスクリプトーム解析)によって計測される生命状態を、人工環境システムによって再現する手法の提案と検証を目的とした。野外に自生する多年草の薬用植物(ツボクサCentella asiatica)を対象に、トランスクリプトームの情報構造を数理モデルとして縮約する技術、植物工場によってそのトランスクリプトームを再現する技術、について基礎研究を行った。
|