今後のネットワーク・イノベーションに向けては、ネットワーク仮想化が重要課題であり、そのためのコア技術としてSDN(Software Defined Network)が注目されている。SDNにおいては従来のスイッチング機能をコントロールプレーンとデータプレーンに切り分け、より柔軟で適応的なネットワーク制御を実装しようとしている。この両プレーン間のインターフェースとして代表的なものとしてOpenFlowがあり、標準化が進んでいる。このOpenFlowを実装した場合にコントローラへ各スイッチからの経路問い合わせ処理が集約されるため、トラヒック量が増大するとパケット転送性能が大きく劣化する可能性がある。この性能評価のための数理モデルおよび理論的解析手法を開発した。今年度は昨年度得られた知見を基に、さらにコントローラにトラヒック分類機能である静的分類と統計的分類を付加した場合に関して新たに考察し、数理モデルおよび解析手法を開発した。さらにスイッチにおけるフロー・テーブルの構造を、出現頻度などを考慮したハッシュテーブルなども組み込み可能な、多段化にすることによる効果を評価するための数理モデルも提案し性能解析を行った。提案した数理モデルおよび解析結果の妥当性を検証するために、シミュレーションのみならず実機システムを構築し、トラヒックデータを収集し、結果の相互比較を行い、有効性を確認した。併せてコントローラのスイッチ数に対するスケーラビリティに関しても考察を加えた。
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