近年の日本の科学論文の生産の低迷が知られつつある。方法論の観点から見ると、各論文の書誌情報から著者の所属機関や国などを単位とする集計は大局に関する量的な情報をもたらすもののそれ以上の考察を試みようとすると、各論文の著者の立場が不明であることが障害となる。本課題では、東京工業大学における2002年度から2014年度までの教員・学生名簿と、論文書誌データベースScopusの著者名を突合し、著者の大学における職階を付与したデータセットを作成した。さらに、30%を超える論文で博士課程を中心とする大学院生が第一著者であることがわかり、研究における大学院生の貢献の大きさを量的に把握する端緒を得た。
|