平成29年度については,まず前年度までの研究で日本語対応手話/日本手話の切り替え機能をもたせることで,より現実的な学習教材となる可能性についても見通しを持つことができたことを踏まえ,開発した教材の機能が学習時間や定着の度合いと関連しているかどうかを検討すること,および,それに関連して教材としての学習の定着度を測るための開発を行うことを目標とした。 具体的には,学習定着の度合いを測るためのテスト教材を開発した。具体的には,教材映像から単語等を分割編集し,単語テストとして成立するようにした。問題はXMLにより,メンテナンス可能なものとし,映像を追加できれば,問題の数を増加させることができるような仕様とした。 実際にWebアプリケーションを開発し,教材をテストするのと同時期に,教材開発に利用していたAdobe社のプラグインが,脆弱性のために,サポートを打ち切られることになり,大学の環境に構築したWebアプリケーションに外部からアクセスすることが実質的に遮断されることとなった。Webアプリケーション開発環境の変更も視野に入れ検討を行ったが,現実的ではないと判断した。したがって,当初から予算化していなかった外部での検証のための機材およびサービス等は手配できず,学内でのみ環境を構築した。 結果として,実際のテストについては,数名の学生に依頼したプロトタイプによる検証ということになったが,教材を利用した場合と利用しない場合のテストの成績は差が見られたことから,教材としての成果は一定程度認められるものと考えられる。ただし,手話という健聴者である学生にとってはやや特殊な教材の実験結果であり,学習直後のテスト結果のみの検証のため,今後,定着度を見ながら,システム面での対応も含め改善していく予定である。
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