研究課題/領域番号 |
15K12169
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 篤裕 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70189637)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 学習診断 / 問題分析 / 解答過程解析 / Task Analysis / 学習達成度 / 教育評価 |
研究実績の概要 |
試験を実施することによって、その時点での受験者の学習到達度を把握することができる。しかし、受験者の行動としては、ややもすると得点と言う「数値の大小」に関心が集中してしまい、次の学習ステップとして、どの単元を習得するのが「より効果的なのか」と言ったところに興味を持たれない場合が多い。これは、採点結果が数値でしか受験者にフィードバックされないことも一因であり、「得点」に加えて的確な「助言(アドバイス)」を付与することによって飛躍的に改善される。 この状況を打開するには、正答した問題に注目するだけでなく、誤答した問題についてどの点の学習が滞っているかを分析・把握する(解答過程解析(Task Analysis))ことによって、受験者のつまずいている単元を特定することが可能となり、それを助言として提示することができるようになる。 このような学習診断の技術の一つとして、申請者らはRule Space Method(以下 RSM と略, Kikumi K. Tatsuoka(2009))に注目し、その技術的問題点を明確化すると共に実装可能性を探ることとした。研究実施初年度である本年度はRSMの仕組みを詳細に調べることに主眼を置いた。具体的には、RSMの基幹となっている技術を習得すると共にRSMの提案・開発者であるKikumi K. Tatsuokaらのグループを訪問し、助言システムを実現する際に考慮すべき点等の調査を行った。また、平行して問題分析を行うに当たっての問題点の洗い出しを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RSMの基幹となっている技術は、数学や認知心理学の領域を応用したものとなっているため、それらの理解を含めて研究を進行する必要があり理解に時間を要している。また、解答過程解析には特定教科の知識と学習単元を有機的に理解して進行する必要があるため、当初の計画よりやや遅れた進捗となっているのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の遅れを取り戻すべく、RSMの基幹技術の習得に注力すると共に、初年度に購入予定であったハードウエア・ソフトウエアを整備してその実装システムを試作するところまでを目指す。その過程において、申請者らがこれまで研究してきたニューラルネットワークモデル(以下 NNM と略)の技術を援用して実現を試みる。また、これらの研究成果を国内外の学会で発表し、同じテーマを持った研究者と意見交換をすることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に購入を計画していた実装システム用のハードウエアとソフトウエアについて、研究の進捗状況を勘案して次年度に購入することに変更したため、その分の使用額が繰り越しとなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究申請時に計画した第2年度の経費を予定通り行うのは勿論であるが、前項で説明したように、初年度に購入予定であったハードウエアとソフトウエアを本年度に執行することにより、繰り越した経費も1年遅れで執行する予定である。
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