研究課題/領域番号 |
15K12174
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
岩根 典之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60264933)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デジタル教材 / マルチモーダルインタフェース / 身体知 / 形式知 / 学習システム |
研究実績の概要 |
デジタル教材の触力覚に関係する記述に対してわかりやすい説明を支援するため、学習メディアのひとつとして力覚デバイスを導入し、具体的な事例を通じて可能性を探求する。本研究では題材として陶芸を対象に、次の3つの観点、すなわち、(1)教材において伝えたい知、知りたい知の種類、(2)既存の伝達メディアとその組み合わせによる効果、(3)知の新しい伝達手段としての有用性、から説明支援における力覚でデバイスの可能性を調査分析する。これまでに陶芸の専門家1名から陶芸初心者に伝えたい知の説明的文章(形式知)を獲得した。また、構築した実験システムにより力覚データとビデオ映像3パタンの身体知を獲得してきた。さらに、実験システム上で身体知を再現して初心者12名からSD法により陶芸スキルの記述のわかりやすさの評価データを収集整理してきた。本年度はそれらデータを用い、ハプティックデバイスの有無による陶芸スキルに関する記述の理解の変化について分析考察した。その結果、ハプティックデバイスによる説明支援の有無により記述を論理的に感じるかという点において変化する可能性が示唆された。身体知に対する形式知による説明がハプティックデバイスを通じた身体知の身体的説明が理解としてつながったと考えられる。その一方で、さらなる調査分析や評価が必要なこともわかった。特に、デジタル教材として理解の変化だけでなく伝えたいことが知覚されているか、身体知の再現性のコストや精度からの検討などの検討が必要なことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近年、ハプティック関連分野の研究が急速に進展しており、本研究の位置づけをより明確にするためには最近の研究に関する文献を網羅的に調査する必要があることがわかった。実験データの一部に未整理な点があり、評価の観点を増やして分析する必要がある。また、可能なら実験協力者を増やして追加実験をする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最近2~3年以内のハプティックインタフェース関係の研究を網羅的に調査し、研究の位置づけをより明確にする。それとともに追加実験の可能性を検討し、実施可能な場合は実験計画を策定し早急に実施し、結果を公表するとともに最終報告書に反映できるように整理する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会発表が調査分析の不備により予定通りに進まなかったため、次年度拡充を図るとともに国際会議等で発表するため。
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