デジタル教材の触力覚に関係する記述に対してわかりやすい説明を支援するため、学習ディアのひとつとして力覚デバイスを導入し、具体的な事例を通じて可能性を探求した。本研究では題材として陶芸を対象に、(1)教材において伝えたい知、知りたい知の種類、(2)既存の伝達メディアとその組み合わせによる効果、(3)知の新しい伝達手段としての有用性、から説明支援における力覚でデバイスの可能性を調査分析する。これまでに陶芸の専門家1名から陶芸初心者に伝えたい知の説明的文章(形式知)を獲得した。また、構築した実験システムにより力覚データとビデオ映像3パタンの身体知を獲得してきた。さらに、実験システム上で身体知を再現して初心者12名からSD法により陶芸スキルの記述のわかりやすさの評価データを収集整理分析してきた。その結果、ハプティックデバイスによる説明支援の有無により記述を論理的に感じるかという点において変化する可能性が示唆された。最終年度は陶芸の身体知の3パタンの説明的文章とそのビデオ映像と触覚提示、およびアンケートの自由記述から理解支援の可能性や限界について考察した。映像のような視覚的情報に対する注視点の違いや文章の論理的な理解に個人差があり、さらに視覚情報と触覚情報の同期に対する感度に差があることがわかったが、説明支援に触覚情報は不要という意見はなかった。一方、注視点がわかるように音声による説明があるとよいといった建設的な意見が得られた。しかし、力覚提示の精度や能動的な提示があったほうがよいなどの意見もあった。
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