研究課題/領域番号 |
15K12176
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
棟方 渚 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (30552351)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | てんかん治療 / バイオフィードバック / 臨床実験 / 末梢の交感神経機能 / 患者のモチベーション / 体験の質 / システムの小型化 |
研究実績の概要 |
申請者は薬を用いない病態の治療法の確立を目指しており,特にてんかん治療を目的としたバイオフィードバックトレーニングシステムの開発とその臨床的な効果の検証のための実験を行っている. 昨年度は難治性のてんかん患者を対象として,てんかん治療用バイオフィードバックトレーニングシステムを用いた臨床実験を行った.実験は,一人の患者に対して,週2回で4週間継続し,計8回の試行を行った.実験で想定した患者数を確保することが非常に難しく,計5例の実験を行うに留まった.また,5例目の患者において,最終回である8回目の試行をキャンセルし,実験期間の途中で試行を中断することとなり,ドロップアウト例が確認された.この実験結果をふまえ,実験の流れやインストラクションや結果の説明など,患者に負担のない実験設定に見直す必要があると考えた.一方で,ドロプアウト例は,本研究において貴重な情報とも言え,バイオフィードバックの効果や実験結果に,どのような影響があるのかを詳細に調査する必要があると考えている. 本研究期間において,追加で実施した実験結果から,てんかん患者の末梢の交感神経機能のデータの取得・解析のほか,患者のモチベーションやバイオフィードバックゲームの体験の質に着目し,実験の流れやシステムの振る舞いなどの見直し,修正・調査を行う必要があると考えている. この結果を踏まえ,てんかん医師や患者からのコメントを更に収集し,システムの小型化に際し,必要な要件をまとめた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究計画は,北海道大学病院倫理委員会で承認済みであり,北海道大学病院内で,本研究で提案した実験を行う実験室を確保することができた.その実験室の準備に時間がかかり,本研究で実施する交感神経機能の基礎実験の実施開始日が遅れる結果となった.結果的に昨年度に実験を開始することができなかったため,進捗状況について「やや遅れている。」と判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
現在の進捗が遅れているため,研究の進行について若干の変更を行った.研究実績の概要で説明した通り,昨年度に実施した実験結果から,てんかん専門医やてんかん患者より,実験の体験についてコメントを収集し,小型化やシステムの簡易化に関する知見を得た.得られた知見から,システムの小型化の作業スケジュールを前倒しして開始することとした.現在,ハードウェアの小型化,ソフトウェアの簡易については作業進行中である.今後,実験室の準備が整い次第,てんかん患者,健常者(医師,看護師)の被験者を集め,末梢の交感神経機能を調査する,実験を実施する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り,申請で提案した実験の開始が遅れており,今年度での実施となったため,「次年度使用額」が生じた.
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度に実験で使用する電極や電池,電子回路パーツ等の費用の他,被験者への謝金等で,「次年度使用額」を使用する.
|