申請者は,てんかんのバイオフィードバックゲームによる治療の効果について,臨床的な評価(患者のてんかん発作の軽減・回数の減少・患者の主訴)を行うために,ゲームの構築を行った.これまで開発してきたゲームでは,ソフトウェアの操作やセンサ装着の複雑さ,装置の準備に時間がかかるといった,いくつかの問題点が確認された.これらの問題をさらに調査するために,以下の3つを軸とした基礎的な実験を行った.1つは,操作が容易なバイオフィードバックゲームのデザインについて,その設計や操作方法等の扱いやすさに着目して行った.もう一つは,センサの装着を簡易に行えるよう,対象となるバイオシグナルの選定を行った.具体的には,2種の皮膚抵抗値SCL(: Skin Conductance Level)とSCR(: Skin Conductance Response),指尖脈波,指尖皮膚温の4つの取得データで比較を行い,それぞれの特徴を抽出した.特にてんかんの症状に関連するような適したバイオシグナルの調査を試み,SCLの反応に有意性があることが確認された.最後に,装置の準備負担を軽減するために,装置の小型化を試みた.上記の実験から,問題点を明らかとし,てんかん治療のためのバイオフィードバックゲーム及び関連システムの開発を行った.本提案では,上記のような試みを礎に,誰でも扱えるバイオフィードバックゲームの治療システムを目指し,基礎的な実験とシステム(ソフト,ハードウェア)の構築を主に行った.
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