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2015 年度 実施状況報告書

海洋表面への落雷に伴う物質循環の検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K12181
研究機関北海道大学

研究代表者

亀山 宗彦  北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (70510543)

研究分担者 佐藤 孝紀  室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50235339)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード炭素循環 / 窒素循環 / 雷放電
研究実績の概要

平成27年度は「高気密性のプラズマ放電システムの構築及び最適条件の導出」、「沿岸・外洋海水の放電による栄養塩、溶存有機物、溶存微量気体成分変化の検証」の二つを課題としていた。平成27年度中に計画していた研究内容は十分に達成された。
「高気密性のプラズマ放電システムの構築及び最適条件の導出」の課題では室蘭工業大学でのプラズマ放電システムを転用し本研究の目的を達成する最適条件を導き出した。当初放電セルを新調する予定であったが、研究費の採択額の都合により既存のものを使用した。試料海水を放電セル内に設置した後、セル内の気相部分を実験ごとに純空気(純窒素:純酸素を8:2で混合させたもの)及び純アルゴンを2 L/minの流量で2分間置換し、放電開始後も気相部分のガスを入れ替えることによって起こる反応が気相と液相のどちらで起きるものなのかを確かめた。
放電の結果、栄養塩では硝酸・亜硝酸塩で顕著な増加がみられた。アルゴン雰囲気下の条件では、窒素雰囲気下の条件で得られた硝酸・亜硝酸塩よりも変化が小さかったが、明らかな濃度の増加がみられた。このことは、従来報告されている気相中での窒素固定によって生成した硝酸・亜硝酸塩の液相への速やかな沈着が起きること、また液相中でも気相中と同様な窒素固定が起きうることを示している。対象微量気体ではメタンの濃度及び同位体組成に顕著な変化はみられなかったものの、亜酸化窒素の濃度が増加し、酸素安定同位体組成が低くなる傾向にあった。以上の結果は、海面への雷放電が海水中の窒素化合物の生成・消失源となっている可能性を示している。また、溶存有機物は三次元蛍光スペクトルのパターンに変化はないものの、吸収スペクトルには変化があり生成と消費の両方が起きている事がわかった。つまり、放電によって蛍光を発さない発色団が生成・変質していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画していた研究の内容は全て施行することが出来たため、順調に進展していると考えられる。また、放電による変化が顕著に見えており、特に窒素酸化物の動態に大きく寄与する可能性が高い事がわかった。本研究の結果は平成28年3月に行われた日本海洋学会春季大会において研究発表がすでに行われており、多くの研究者からのコメントを頂いている。

今後の研究の推進方策

平成27年度の研究から、雷放電が窒素酸化物の動態と密接に関係している事が分かった。そのため、特に窒素酸化物の変化について平成28年度以降研究を進めていきたいと考えている。特に、亜酸化窒素の放出量について定量制を高め、放電が大気中亜酸化窒素のミッシングソースであるかを検証したいと考えている。また、放電による窒素酸化物生成のメカニズムを解明するために前駆物質と考えられる窒素ガス、溶存有機物の窒素の同位体ラベリングを行う。さらに、大気起源硝酸のトレーサーとして有効である三酸素同位体比の変化がプラズマ放電によって引き起こされるかどうかも検証したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額のうち、約200,000円は平成27年度に3ヶ月の人件費を考えていたものが2ヶ月となったためである。また、物品費の約300,000円は平成28年度に使用する予定の物品を既存のもので使用したためである。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額のうち200,000円は平成28年4月の人件費に充てられる予定である。物品費の分は新規の放電セルを作成する等の物品費に充てられる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 室内放電実験に基づく海洋表面への落雷に伴う物質循環の検討2016

    • 著者名/発表者名
      亀山宗彦・佐藤孝紀・山下洋平・小川浩史・角皆潤・谷本浩志
    • 学会等名
      日本海洋学会 2016年度春季大会
    • 発表場所
      東京・東京大学本郷キャンパス
    • 年月日
      2016-03-15 – 2016-03-17

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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