研究課題/領域番号 |
15K12182
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 知道 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60392958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | クロロフィル蛍光 / 落葉広葉樹林 / 光合成量 / リモートセンシング / 生態系モデリング / 光ストレス / キサントフィルサイクル |
研究実績の概要 |
本研究では、光合成の直接的な指標であり、非接触で測定可能な太陽光誘発クロロフィル蛍光(SIF)を新たに活用し、森林生態系の光合成量の空間分布を明らかにすることを目的としている。 本年度は、岐阜県高山市の岐阜大学高山試験地の落葉広葉樹林(TKYサイト)において現地観測を3回(6月、8月、10月)行い、個葉レベルでのクロロフィル蛍光パラメータ(量子収率、NPQ、ETR等)や、その他各種生態学的変数(葉面積指数、比葉面積、クロロフィル農度、カロテノイド農度等)の鉛直設置場所・樹種・季節間の変化についてのデータを取得した。 また追加的に、当該サイトの過去の生態系上面における分光放射データ(PEN, HSSRセンサーによるもの)を利用し、FLD法によってSIFを計算した。その結果、当該森林生態系全体のSIFと渦相関法による生態系光合成(GPP)との間に強い正の相関関係があることを確認した。またについても調べた。それらの結果を、現在まとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定されていた二つの研究テーマについて個別に説明する。 1. SIFの鉛直分布を連続測定するシステムの構築 岐阜県高山市の落葉広葉林(岐阜大学高山試験地内)において、既存18mの観測タワーに、当初は鉛直方向に光ファイバを複数設置し、観測小屋の分光放射計等で、すべての高度のスペクトルを測定する予定であった。しかしながら、予定の観測方法では技術的な問題があることが分かったため、方式を変更し、特定波長の放射輝度を測定するセンサーを開発し、それを鉛直方向に複数設置することにした。センサーは本年度中にプロトタイプが完成したが、現地への設置には至らなかった。
2. 個葉のクロロフィル蛍光・光合成機能の鉛直分布の定期観測 優占種であるミズナラ・ダケカンバについて、個葉のクロロフィル蛍光およびそこから計算される光合成機能(量子収率・電子伝達速度・Non Photochemical Quenchingなど)を、パルス変調クロロフィル蛍光測定装置にて測定した。また葉面積を、魚眼レンズデジカメによる半天球写真から測定した。観測は、展葉期・生長最盛期・紅葉期である、6・8・10月に行った。個葉のクロロフィル蛍光は、各月の晴天日に、日の出から日没まで5回行った。 このように現地での定期観測はほぼ予定どおり行われた。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ1と2については、次年度も継続する。 また、テーマ3「SIFから森林内光合成量の時空間分布を解明」については、テーマ1の観測体制が整い次第、解析を行う。 テーマ4「衛星・航空機および渦相関法によるSIF・生態系光合成量の検証」については、次年度後半に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
岐阜県高山市の落葉広葉林(岐阜大学高山試験地内)において、既存18mの観測タワーに、当初は鉛直方向に光ファイバを複数設置し、観測小屋の分光放射計等で、すべての高度のスペクトルを測定する予定であった。しかしながら、予定の観測方法では技術的な問題があることが分かったため、方式を変更し、特定波長のみの放射輝度を測定するセンサーを開発し、それを鉛直方向に複数設置することにした。センサーは本年度中にプロトタイプが完成したが、現地への設置には至らなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
余剰資金は、次年度予算と足しあわせ、すでに完成しているセンサーの購入と校正・設置に利用される。
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