宝石サンゴの炭酸塩骨格に希少性が見出されるのは、極めて限られた海域に生息する天然資源であり、アカやモモの美しい光沢を有することに由来する。本研究では、世界の主要生息地より代表的な宝石サンゴ種を採取し、高速液体クロマトグラフ質量分析法を用いて骨軸中の色素成分であるカロテノイド色素を分析する手法を確立した。また色素成分と特に調和性の高い元素として有機色素の構成元素である硫黄・リン・窒素、及び骨軸の炭酸塩を構成するアルカリ土類元素に着目して、放射光μ-XRF/XAFS(X線吸収端微細構造)分析により微細な二次元分布像をマイクロメートル単位で明らかにし、宝石サンゴの色彩を総合的に解析した。
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