研究課題/領域番号 |
15K12185
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古内 正美 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (70165463)
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研究分担者 |
畑 光彦 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (00334756)
大谷 吉生 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (10152175)
鳥羽 陽 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50313680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 大気現象 / 環境分析 / 無機工業化学 / 環境変動 |
研究実績の概要 |
1.マルチノズル慣性フィルタの基礎特性の検討:シングルノズル積層メッシュ慣性フィルタを用いて,メッシュの種類や積層枚数,ろ過速度などをパラメータとして,粒子分級特性と圧力損失を評価し,ナノ粒子を低圧損かつシャープな分級特性で分級するための最適条件を検討した。ろ過理論に基づく既存モデル式でフィルタ特性の概要を設計し,分級特性を評価した結果,積層メッシュ慣性フィルタの跳ね返りの影響が予想以上に大きかったため,下記前段分級装置と慣性フィルタの分級性能を複合した形で再設計と調整を行った。 2.粉塵負荷抑制機構の検討:メッシュ積層慣性フィルタ前段に,粉塵負荷・粒子飛散抑制用の分級装置を検討した。SUS繊維層慣性フィルタ,マルチノズル・バーチャルインパクター,インパクター,サイクロンなどの候補からサイクロンとインパクターの組み合わせを選択し,理論・実験の両面から検討した。1の結果から,分級径と捕集効率曲線が接近した慣性フィルタとインパクターを複合することで,圧力損失低減、分級特性の向上,粗大粒子の跳ね返りを抑制を同時に実現できることを示した。 3.装置設計・試作:検討結果に基づき,市販エアーサンプラー用にスケールアップした複合型マルチノズルメッシュ積層型慣性フィルタを設計・試作し、実用上十分な性能を実現した。 4.環境ナノ粒子の高時間解像度評価のための予備フィールド調査:3で試作した装置による各種環境(国内一般環境,道路端,作業環境,途上国都市部等)でのフィールド試験を開始した。 5.ナノ粒子製造プロセスへの適用のための予備調査:実験プロセスで生成されたナノ粒子高速生成プロセスを対象として,一次粒子の粒子径分布,凝集体を含む気中での粒子径分布,粒子濃度などの基礎データを既存の生成装置で評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記した5項目は研究計画書・交付申請書と実施内容がほぼ完全に一致し,ほぼ予定通りに進展している。基礎実験の過程で慣性フィルタの跳ね返りの問題が予想より大きかったことが判明したが,これをきっかけにインパクターと慣性フィルタとの複合分級の着想を得て,従来の慣性フィルタよりも分級性能・圧力損失を当初の予想より改善する方向性を確認することができた。 上記の事情を総合し「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり,ほぼ予定通りに進捗しているため,2年目で予定している1.装置開発・改良,2.環境ナノ粒子の時間変動特性と発生源影響の考察,3.ナノ粒子製造プロセスへの適用の可能性の検討,4.総括を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で実施した予備フィールド観測のための消耗品の調達が予定からずれたため,残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の理由で予備フィールド観測の予定をずらしたが,消耗品が必要なので,その費用に充てる
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