本研究では,雨水中の微生物の計測方法を確立し,熊本市において1年間全ての降雨時の雨水に対して,含まれた微生物およびイオン成分の調査分析を行った.その結果,雨水中の微生物の濃度,生存状態および群落は,雨の引き起こす天気現象(低気圧,梅雨,台風など)毎に異なることがわかった.特に大陸性の気団の侵入により生じた雨の中に,土壌系な微生物が多く見られ,その濃度は高く,生存率は低かった.雨水中から浮遊微生物の増殖は確認されなかったが,培養実験では浮遊微生物の単一種類の微生物の増殖が確認され,その増殖に伴った無機イオン成分(硫酸塩,硝酸塩,塩酸塩,アンモニア,カルシウム、鉄等)の変化は殆ど見出されなかった.
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