研究課題/領域番号 |
15K12197
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
小栗 一将 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 主任技術研究員 (10359177)
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研究分担者 |
清水 悦郎 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (60313384)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地震計組み込み型海底観測ステーション / 海底地震計 / 樹脂固定 / 水中WiFi通信 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、地震計組み込み型海底観測ステーションの実現に必要な5つの技術要素を検討した。1.カメラの選定とタイマー回路の開発:カメラには、地震計内部の隙間を考慮しRaspberry Pi A+とカメラモジュールを選定した。任意のビデオ撮影時間・間隔をプログラム可能な回路を開発した。2.カメラ・ライトの最適な実装の検討:海底地震計の耐圧ガラス球に起因する画像の濁りを防ぐため、ガラス球内側に透明樹脂(エスイーシー社製S331c)をモールドすることで、この問題から回避できることを確認した。LEDライトをガラス球内に入れた場合生じるハレーションを評価し、レンズに対し30度の位置に設置すれば良いことを確認した。3.耐圧電池の検討:CTD等で必要な電源の候補となる、樹脂固定乾電池の耐圧評価を行った。各社・各種の電池をS331cで含浸、11MPaに加圧した環境で30mAの定電流放電を行った結果、一部のアルカリマンガン電池は、内部空隙を樹脂で含浸することで長期使用できる可能性が示唆された。4.水中WiFi通信の試験:水槽中にハウジングに入れたWiFiカメラを置き、これに長さ30cmのS331c製の円柱を接触させ、上部を水上に出した。この状態でWiFiによる映像受信に成功した。カメラから円柱を離すと受信が途切れることから、S331c製円柱が導波管を形成、水中WiFi通信が可能なことを検証した。樹脂に金属箔を巻きつけると電波の減衰が低減、通信距離が伸張することを確認していたが、金属箔の代わりに腐蝕の心配のないカーボン繊維を用いても同様の効果が得られることを確認した。5.CTDの検討:エスイーシー社製のデジタルXCTDの使用を想定し、諸機能の検討を行った。待機電力節約のため、回路の停止・再開を行う必要があるが、この用途に太陽電池を使ったウェイクアップ回路を検討、原理的な動作を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は観測装置の概略の設計および諸機能の検討を想定しており、当初計画していた予定に従った開発を行うことが出来たと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度には、平成27年度に開発・評価を終えたそれぞれの機能を、実際の海底地震計に実装する。この際、電気的、機械的なノイズによって地震計機能を損ねないことも十分に検討する。年度後半には実際に地震計を投入する機会が得られるため、この予定に合わせた実装を済ませる予定である。XCTDの電導度測定電極については、現状では使い捨てを想定しており寿命が短いため、長寿命化の可能性を検討する。また、樹脂固定電池についても、使用できそうな候補になる銘柄・形式の電池を解析して可能性を検討し、耐圧試験を引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
水中WiFi通信技術の実験について、所有する消耗品を用いて行えたため、新たに購入する必要が生じなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度以降、引き続き水中WiFi通信技術や地震計組み込みの際に必要になる消耗品の購入や、実験、組み立てに派生する費用に使用する。
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