研究課題
ミリ波は日常生活で通信や自動車衝突防止用レーダーとして使用されている。高強度のミリ波被曝は、電波を角膜で吸収・発熱することにより眼障害を引き起こす。一方、1800 万人とも言われるコンタクトレンズ(以下、CL)使用者のミリ波眼障害発生の有無は不明である。本研究は以下の3 点を検討した。1)ハードCL、ソフトCL 装用有無によるミリ波誘発眼障害の検討:ミリ波曝露による眼内での熱輸送(角膜から前房水を介して、眼球内部の水晶体への熱輸送)感温液晶カプセル(熱により色調を変化させる微粒子)を眼内に注入することにより、角膜から前房内への熱輸送を可視化した。CL装用の有無により、ミリ波の眼部曝露による眼内の温度上昇を比較検討した結果、CL装用により、眼内への熱輸送を若干抑制した。2)カラーCL(金属塗料を使用しているために、ミリ波吸収の可能性がある)装用によるミリ波誘発眼障害の検討:種々の色調のカラーCLをTerahertz time-domain transmission spectrometerでテラヘルツ帯を含むミリ波領域の電波の吸収特性を検討した結果、カラーCLの色調の有無で眼障害発生の有無に関与する程の差異は無かった。3)種々のCL装用有無による外眼部対流可視化実験:家兎外眼部周辺の3次元構造を3次元スキャナーでデータを取り込み、この眼外部形状データより、家兎眼にフィットする外眼部対流可視化用チャンバーを3次元プリンターで作成した。微細粒子の煙をトレーサーとして眼外部可視化チャンバー内にトレーサーを充填した後、緑色レーザーで可視化断面を作成した上で、ミリ波電波を曝露し、家兎角膜から眼外部に蒸散する熱の可視化を達成した。このモデルを使用し、種々のCL(通常及び着色CL)の装用の有無による外眼部での熱の動態を検討した結果、眼障害発生または眼障害を抑制する程の効果は認めなかった。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Journal of Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves
巻: 印刷中 ページ: 印刷中