53BP1は、Tudor domainを介してDNA二重鎖切断(DSB)部位に出現するメチル化ヒストンH4(H4K20me2)と結合し、DSB部位に集積する。53BP1のTudor domainは、Tudor-interacting repair regulator(TIRR)に覆われており、DSBが発生するとATMによる53BP1のリン酸化依存性にTIRRがTudor domainから離れTudor domainは露出する。一方、H4K20me2はJMJD2AまたはL3MBTL1に覆われているが、DSBが発生すると、ユビキチンリガーゼであるRNF8とRNF168依存性に、JMJD2Aは分解され、L3MBTL1はH4K20me2から離れる。 我々は、アポトーシス細胞において53BP1がカスパーゼ依存性にTudor domain を含んだ60 kDaのC末断片になること、この53BP1C末断片がクロマチンと共に細胞表層へ露出することを見出した。これまで、アポトーシス細胞においてJMJD2Aがカスパーゼ依存性に分解されること、L3MBTL1は何らかの機序でクロマチンから離れることを明らかにしてきた。今年度は、アポトーシス細胞において53NP1C末断片が、実際にヒストンH4と結合しているかどうかを免疫沈降法で調べた。その結果、アポトーシス誘導前には、細胞の可溶性分画においてfull size 53BP1はヒストンH4と共沈しなかったが、アポトーシス細胞では、53BP1C末断片がヒストンH4と共沈することが確認された。アポトーシス細胞において53BP1C末断片がクロマチンと挙動を共にしていることが示唆された。
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