研究課題
本研究は、春季の九州北部地域において大気観測を行い、黄砂を含む大気微粒子について、その大気濃度の変化とともに、健康影響に関係する可能性のある粒子中化学成分や浮遊性生物の変化を明らかにし、アレルギー性結膜炎の病態との関係を明らかにすることを目指した。2016年3月から5月の期間に福岡市内において、大気微粒子の粒径別個数濃度の測定と化学成分分析用のサンプリングを連続して行った。大気微粒子の粒径別個数濃度の測定は、光学式粒子カウンターを用いて行い、調査期間を通じて大気微粒子の粒径別個数濃度のデータを得た。サンプリングはインパクターサンプラーを用いて、大気微粒子を粗大粒子(粒径2.5μm以上)と微小粒子(粒径2 .5μm以下)に分級して採取し、得られたサンプルを用いて、粒子中イオン成分濃度、金属元素濃度、可溶性金属元素濃度、DTTアッセイによる酸化能の分析を行った。その結果、黄砂時には単位大気体積に含まれる粗大粒子の酸化能が高くなることが明らかとなった。また、福岡の春季の粗大粒子の酸化能の変化を説明する要因として、可溶性のマンガンの濃度変化の寄与が大きいことが明らかとなった。健康調査は、2016年4月から5月までの期間に健常者3名に対して行い、調査対象者の涙液と洗眼液を数日ごとに11回採取した。また、自覚症状などからアレルギー性結膜炎が疑われる場合には、診察を行い、症状の記録も行った。今後、採取した涙液中の生理活性物質の分析を実施し、結膜炎の病態と大気データと合わせた解析を行う予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Journal of the Meteorological Society of Japan
巻: 96 ページ: 215-240
10.2151/jmsj.2018-026
Atmosphere
巻: 8 ページ: 114~114
10.3390/atmos8070114