本邦は世界6位の排他的経済水域を有し,そこには膨大な海底資源が存在するとされている。しかしこの開発にあたって必須となる環境影響評価の方法論はいまだ確立されていない。本研究では開発の影響がおよぶ範囲を事前に評価するため,難分解性の化学物質のうち,生物の健康に影響を及ぼさないガス成分を海底に撒布し,これを追跡することを提案した。当初は海底全般に利用可能な大規模撒布実験を想定していたが,法的な問題から現状では実施が極めて困難であると結論するに至った。一方でカルデラ内に形成された熱水鉱床であれば,同評価法が利用可能であると考えられた。
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