研究課題/領域番号 |
15K12223
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
新田見 匡 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (20377089)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 環境技術 / 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / 反応・分離工学 / 微生物燃料電池 / バイオリアクター |
研究実績の概要 |
微生物燃料電池(MFC)に嫌気性アンモニア酸化(AX)を付加した新たな下水処理法(MFC-AX)を開発することが本研究の目的である。本年度は集積培養したAX細菌Candidatus Scalinduaに対して、塩濃度を操作した代謝活性試験を行い、Ca. ScalinduaのAX活性への影響を調べた。 ・Ca. Scalinduaの集積培養:不織布担体を設置した上向流カラムリアクター(親機)によるCa. Scalinduaの集積培養を昨年度から継続している。培養期間が500日を超えた現在も、リアクターによるアンモニウムイオンの除去率は90%以上、また亜硝酸イオンの除去率も約90%であり、Ca. Scalinduaによる安定したAX活性が示されている。またアンモニウムイオンと亜硝酸イオンの消費量、および硝酸イオンの生成量の関係は、既報の量論比に近い値を示している。 ・塩濃度によるCa. ScalinduaのAX活性への影響:塩濃度の違いによるCa. ScalinduaのAX活性を比較するため、親機の1/10のスケールとなる小型の上向流カラムリアクター(子機)4台を作製した。各子機はまず親機と同じ塩濃度(3%)で運転を安定させ、その後塩濃度をそれぞれ0%、0.75%、1.5%、3%に設定した。塩濃度を変えてから運転が100日を経過した時点において、塩濃度0%、0.75%、1.5%、3%におけるアンモニウムイオンの除去率はそれぞれ約0%、20%、20%、100%であった。今回の実験においては、塩濃度を1.5%以下としてCa. Scalinduaを培養すると、そのAX活性は維持されない結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画は以下の3項目であった。1)集積培養したAX細菌Candidatus Scalinduaに対して、塩濃度を操作した代謝活性試験を行い、Ca. Scalinduaの窒素除去活性への影響を調べる。2)低温、低アンモニア濃度条件下での部分硝化の方法を確立する。3)MFCにAXを付加したMFC-AXを実証する。研究計画のうち1)については上記のとおりの成果を得た。しかし2)、3)については実施に至らなかった。したがって「遅れている」と評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
Candidatus Scalinduaに対して、塩濃度を操作した代謝活性試験を継続するとともに、部分硝化を低温、低アンモニア濃度条件下で促進するための研究を実施する。またMFCにAXを付加したMFC-AXの実証試験を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 研究の進捗が遅れたことや、現有機器の活用などにより、実験での予算の使用が減ったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 全ての研究計画を実施することで、当初の予算を使用する。
|