嫌気性メタン酸化脱窒微生物と嫌気性アンモニア酸化微生物の培養系を組み合わせて共培養リアクターの運転を継続した。また、共培養リアクターの汚泥と植種元の汚泥について微生物解析を実施した。その結果、アナモックスリアクターではPlanctomycetes門のKuenenia属微生物がアナモックス微生物では主要なものであった。その一方で、共培養リアクターでは,アナモックスリアクターと異なり,KueneniaだけではなくCa.BrocadiaやCa. Jetteniaも検出され培養条件の違いによって微生物群集が変化していることが確認できた。また昨年度の実験の結果より、共培養リアクターでは、嫌気性メタン酸化脱窒微生物の亜硝酸生成反応が律速となっている可能性が示唆されたため、培養条件の検討を実施した。その結果、還元剤の影響が嫌気的メタン酸化脱窒反応に対してより大きく影響していることを確認できた。 今年度はスポンジを用いた密閉型のリアクターについても実験を開始した。実験にはスポンジ担体をランダムに充填したDHSリアクターを用い、昨年度の結果より律速となっている嫌気性メタン酸化脱窒微生物の反応を迅速に行うため、まずは嫌気性メタン酸化脱窒微生物の培養を開始した。その結果、培養3ヵ月で硝酸,亜硝酸を同時に添加した条件で前年度の共培養リアクターとほぼ同様の硝酸除去速度を達成できており,DHSリアクターを用いたリアクターの処理効率の高さが確認できた.その一方で、DHSリアクター内のガス成分の分析結果からN2Oが発生していることを確認した。従って、今後はN2Oの発生量を調査しながらアナモックス微生物の導入を行う必要がある。
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