二酸化炭素の排出を抑制するためにCO2回収・貯留技術などのCO2分離回収技術が必要である。そのための最大の課題は希薄なCO2と他のガスとの分離操作の省エネルギー化である。CO2分離法の中で最も省エネルギー化が可能とされている膜分離法を活用したCO2の分離技術の開発が進められている。本研究では、CO2とCH4の分離において高い性能を有するDD3R膜と同様の骨格構造を有し、、構造中にアルミなどの金属を担持可能な新規酸素8員環CO2ゼオライト膜の創製を目標にしている。当該年度では、合成されたZSM58結晶を種結晶として、原料溶液、水熱合成条件(温度、時間)を検討することで、多孔質材料上に薄膜化させることに成功した。また、それらの分離性能はDD3R膜と同レベルであり、高い分離性能であることが確認できた。ZSM58膜はDD3R膜と比較し、再現性が高く、実用化に適していると考えられた。ZSM58膜は耐圧性も高く、高圧でCO2ガスを分離可能であることが確認できた。ZSM58膜はこれまでに報告例がなく、詳細に分離特性を把握することで、他の用途にも適用できる可能性がある。今後は石油化学分野や天然ガス精製など高温、高圧プロセスでの小分子の分離等に適用可能かを検討する。
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