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2015 年度 実施状況報告書

迅速・簡便・オンサイト型硝化・脱窒細菌計測法の開発と廃水処理槽管理指標への応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K12229
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

山田 剛史  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90533422)

研究分担者 川上 周司  阿南工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (00610461)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードCTC / アプタマー / 微生物計測 / 硝化細菌 / 脱窒細菌
研究実績の概要

生物学的硝化―脱窒プロセス内の硝化・脱窒菌をオンサイトで簡便・迅速に計測するために、CTC(5-cyano-2,3-ditolyl-2-tetrazolium chloride)法と核酸リガンド(アプタマー)を組み合わせた計測技術の開発を試みる。本研究では、脱窒細菌計測に用いるCTC 反応の最適化を行い蛍光感度向上と測定時間の短縮化を目指す。さらに、硝化菌および脱窒菌の細胞表層タンパクに対して特異的に結合するアプタマーを探索し、偽陽性生菌数計測の防止や種別(または機能)判定を行うための多重染色法を開発する。本研究は、オンサイトにおいて、廃水処理槽内の硝化―脱窒菌の生菌数の迅速・簡便な測定技術の原理を構築するものであり、その測定技術は、現場管理者によるオンサイト分析を可能とし、廃水処理槽の新たな管理法への応用が期待できる。
本研究では、硝酸呼吸を捉えるCTC 法の高感度・迅速化のため、CTC 濃度、呼吸阻害剤の種類や濃度を最適化する。次に、SELEX 法を用いて、硝化菌および脱窒菌の細胞表層タンパクを認識するDNA アプタマーを選別する。Systematic evolution of ligands by exponential enrichment (SELEX) 法のラウンド間および最終的な核酸断片の選別および決定は、次世代シーケンス解析で効率的に行う。SELEX 法で得た硝化菌および脱窒菌用の核酸断片に蛍光物質を付加し、CTC 法との多重染色法の最適化を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

硝化菌や脱窒菌の生菌数を迅速・簡便に計測する技法を確立するために、本研究では、5-cyano-2,3-ditolyl-2-tetrazolium chloride (CTC)法と硝化菌と脱窒菌の細胞表層タンパクを認識する蛍光アプタマーによる微生物検出技術の開発を試みる。とくに、本年度は、硝化菌および脱窒菌のCTC法の高感度化と硝化菌を特異的に検出するアプタマー探索を行った。また、アプタマーによる検出は蛍光が微弱になることが予想されたため、その高感度化法の開発も合わせて行った。
CTC法の高感度化では、脱窒菌およびアンモニア酸化菌の純粋株を用いて、CTC還元反応の最適条件の検討を行った。今後、さらなる高感度化の検討が必要であるが、脱窒菌およびアンモニア酸化菌によって呼吸活性阻害剤の違いはあるものの、概ねCTC法より生菌数測定が可能であることが示された。一方、アンモニア酸化細菌に対するアプタマー探索を行った結果、現時点において、特異性の高いアプタマー配列を得ることができなかった。微弱蛍光の増感法として、Hybridization chain reaction法を採用し、fluorescence in situ hybridization (FISH) 法を基にした高感度化が可能であるかを検討した。その結果、通常のFISH法よりも数十倍の高感度化を達成することができた。

今後の研究の推進方策

本年度は、5-cyano-2,3-ditolyl-2-tetrazolium chloride (CTC) 濃度、反応時間及び呼吸活性阻害剤などを組合わせることによって、さらなるCTC法の高感度化を目指す。昨年度、取得ができなかったアンモニア酸化細菌に特異的なアプタマー配列は、Systematic evolution of ligands by exponential enrichment (SELEX) 法のラウンド数を増加させることで対応する。上述したアプタマー配列選択基盤が確立できたら、亜硝酸酸化菌や脱窒菌まで標的の拡大をはかる。また、選択されたアプタマー配列の微生物検出のため、微弱蛍光の増感法として開発されたHybridization chain reaction法の最適化を検討する。本年度終盤を目処に、選別したDNAアプタマーに対して蛍光を付加し、蛍光アプタマーとCTC法との同時検出が可能かどうか評価する。

次年度使用額が生じた理由

最初のアプタマー探索で時間がかかったため、複数の微生物に対する実験に取り組むことができなかったことが主な原因として挙げられる。また、当初、購入を予定していた実験装置の導入を見送る代わりに、既存機器が故障したため、当該研究で必要な代替装置を購入しており、その分の差額が生じたことが挙げられる。

次年度使用額の使用計画

平成28年度の研究費(総額1,100千円 + 次年度使用額分 344千円)の使用計画としては、CTC関連試薬および測定備品の調達(250千円)、アプタマー探索のためのSELEX法に関連する備品および試薬の調達(654千円)、スライドガラスやカバーガラスなどの蛍光観察関連備品(100千円)、プラスチックやガラス器具類の調達(70千円)および研究成果発表旅費(50千円)および技術補佐員1名 (320千円) を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Rapid and sensitive identification of marine bacteria by an improved in situ DNA hybridization chain reaction (quickHCR-FISH)2015

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Yamaguchi, Bernhard Maximilian Fuchs, Rudolf Amann, Shuji Kawakami, Kengo Kubota, Masashi Hatamoto and Takashi Yamaguchi.,
    • 雑誌名

      Systematic and Applied Microbiology

      巻: 38 ページ: 400-405

    • DOI

      10.1016/j.syapm.2015.06.007

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Click chemistry を用いた新規高感度 FISH 法の開発2016

    • 著者名/発表者名
      木村圭佑, 山口剛士, 山口隆司, 川上周司
    • 学会等名
      第50回日本水環境学会年会
    • 発表場所
      アスティ徳島
    • 年月日
      2016-03-16 – 2016-03-18

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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