研究実績の概要 |
再生可能エネルギーの一つである太陽光エネルギーを利用する太陽熱発電においては, 集熱面の吸収率を上げる一方でそこからの放射損失を下げることにより集熱効率を向上させることが必要である. 太陽光のスペクトルに最適な吸収特性を実現することで集熱面の効率の上昇が期待できる. 集熱面の分光特性制御を, 表面の微細構造により実現することを検討した. 本研究では, FDTD法により日射反射特性に対して表面周期微細構造が及ぼす影響について評価した.周期的な微細構造を持つ比誘電率4.0の誘電体に対して,平面波が垂直入射した場合、斜入射した場合を想定した.表面微細構造は溝の深さ,開口長さ,ピッチ長さをパラメータとした.平板の理論反射率はフレネルの式により与えられる反射率に一致した.微細構造を施した際, 平板とは異なる反射特性を持つことが確認でき,RCWA法による解析結果とも一致していることが確認された. 計算の結果として以下の知見を得た.(1) 反射特性の波長制御には溝の深さが最も影響することがわかった.(2) 溝状の表面微細構造は入射角に対して短波長域で反射率が上昇した.(3) 微細構造の凹部と凸部の割合が1:1の場合にその他の割合の時よりも日射反射率が低くなることがわかった.(4) 平板の表面に微細構造を施すことで平板の日射反射率に対して大幅な日射反射率の低下が実現された.今後微細構造が放射特性に与える効果についても検討していく必要がある.
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