研究課題/領域番号 |
15K12233
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研究機関 | 宇部工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山崎 博人 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (20300618)
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研究分担者 |
喜多 英敏 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10177826)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | β-シクロデキストリン / 気体透過係数 / 酢酸セルロース / ガス分離膜 / アセチル化 / 理想分離係数 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、酢酸セルロース(CA)に完全アセチル化β-シクロデキストリン(AcβCD)をブレンドした平膜(CA-b-AcβCD)を開発し、その物性調査を行った。 完全アセチル化AcβCDの合成は、ピリジン溶媒中でβ-CDと無水酢酸を撹拌しながら、45℃で8h以上保って縮合反応させた。完全アセチル化体の合成は、水素-核磁気共鳴法より確認した。次に、CA-b-AcβCD平膜は、超脱水アセトン中、所定量のCAとAcβCDを撹拌しながら溶解させたキャスト溶液をガラス板上へ流し、500μmの溶液高さで、ガラス棒で引き延ばし、乾燥を経て作成し、分離膜とした。この分離膜は、膜厚測定、引張り試験、X線回折(XRD)及び、気体透過実験に供した。気体透過実験は真空タイムラグ法透過装置を用い、35℃、2atm 条件下で各ガス成分(He、H2、CO2、O2、N2、CH4)の透過係数(P)を測定した。なお、拡散係数(D)はタイムラグ法を用い、D=l2/6θより求めた(lは膜厚、θはタイムラグ)。溶解度係数(S)はS=P/Dの関係から求めた。ガス成分A、Bの理想分離係数(α)は、α=PA/PBより求めた。AcβCDの添加量を変化させて得られた種々の分離膜は、ガス透過物性への影響を検討された。 CAに対し、AcβCDを5~50wt%ブレンドしたキャスト膜は、膜厚14~47μmをもつ透明膜となり、気体透過実験が可能であった。AcβCDの添加量が増すほど、CA-b-AcβCD 分離膜のP値は増加した。そしてP値の増加は、S値よりもD値の増加によるものであった。AcβCD添加は、CO2/CH4、O2/N2、CO2/N2系ではα値一定で、値Pを増加させる効果があった。そして、XRD結果より、AcβCD添加量を増加することで、P値とD値も増加することが裏付けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
完全アセチル化AcβCDに続き、完全アセチル化AcαCDとAcγCDをそれぞれ合成し、各々をブレンドした平膜(CA-b-AcCDs)を調製する。そして、平成27年度と同様に、膜厚測定、引張り試験、X線回折(XRD)及び、気体透過実験に供し、評価する。 また、CDのアセチル化以外の化学修飾を検討し、同様に平膜を得てガス分離性を評価する。 更に、多孔質α-アルミナチューブ(平均細孔経0.15µm,チューブ経3mmΦ全長10mm)上にディップコートを経て、炭化膜を調製し、ガス透過物性を確認する。
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