研究課題/領域番号 |
15K12242
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高橋 憲司 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (00216714)
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研究分担者 |
黒田 浩介 金沢大学, 自然システム学系, 特任助教 (10748891)
仁宮 一章 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (10379125)
遠藤 太佳嗣 金沢大学, 自然システム学系, 特任助教 (50743837)
覚知 亮平 金沢大学, 自然システム学系, 特任助教 (00743816)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イオン液体 / リグニンスルホン酸 |
研究実績の概要 |
昨年度合成した新規のジカチオンタイプのイオン液体を利用してリグニンスルホン酸の架橋を行った。市販の高純度高分子量なリグニンスルホン酸(パールレックスNP)を、合成したジカチオンと混合し、樹脂を作製した。その後ジカチオンによってリグニンスルホン酸分子間の結合ができていることを水溶性の変化から確認した。また比較対象としてスルホ基を持たないアルカリリグニンでも同様の実験を行った。リグニンスルホン酸は水溶性であるが、リグニンスルホン酸/ジカチオン複合体は疎水性であった。一方、アルカリリグニン/ジカチオン混合物は水中へ一部溶解した。これらの結果より、リグニンスルホン酸/ジカチオン複合体ではリグニンスルホン酸分子間がジカチオンによって繋がれていることが示唆された。熱重量測定からもジカチオンによるリグニンスルホン酸分子間の結合を確認した。リグニンスルホン酸は40℃から徐々に分解が始まったが、リグニンスルホン酸/ジカチオン複合体は300℃まで大きな分解を起こさず、耐熱性の向上がみられた。一方で、アルカリリグニン/ジカチオン混合物では耐熱性の向上はみられなかった。このこともジカチオンによるリグニンスルホン酸分子間の結合を支持している。 作製したリグニンスルホン酸/ジカチオン複合体の熱溶融性を検討した。複合体は120℃で軟化し、室温まで冷ますと再び硬化した。この現象は反復して行うことができた。そのため、リグニンスルホン酸/ジカチオン複合体は熱によって修復可能な樹脂であることが示された。
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