• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

メタン発酵消化液中での藻類と硝化菌共培養による硝酸化成の促進および肥料化への展開

研究課題

研究課題/領域番号 15K12246
研究機関大阪府立大学

研究代表者

北宅 善昭  大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60169886)

研究分担者 遠藤 良輔  大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (10409146)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード硝化作用 / メタン発酵 / 微細藻
研究実績の概要

本研究の最終目標はメタン発酵システムと微細藻培養システムを組み合わせた物質循環型の廃棄物処理システムを構築することである。メタン発酵技術普及の足かせとなっていた消化液処理問題を解決するため、消化液に高濃度で含まれ、高等植物にとって有害なアンモニア態窒素(NH4+-N)を、高等植物が好む硝酸態窒素(NO3―-N)へ変換(硝酸化成)して、植物養液栽培用肥料とすることを目的とする。H27年度は、微細藻類(Euglena)の増殖に適した消化液濃度を中心に、光強度、温度、pHなどの培養条件の検討を行い、以下の成果を得た。
1.5~50%に希釈した消化液でEuglenaを培養し、各種の各条件での増殖速度を比較した。その結果、全微細藻種において消化液希釈濃度5%での比増殖速度が最大となった。消化液希釈濃度5%以下での比増殖速度の低下は、細胞増殖に必要な栄養塩が不足することに起因し、消化液希釈濃度5%以上での比増殖速度の低下は、褐色を呈する希釈消化液の低い光透過性が細胞増殖に必要な光強度の不足を引き起こすことに起因すると推察された。
2.微細藻類の増殖に適した条件を探索するために、 上記3種の微細藻を消化液濃度、光強度、温度、pHの様々な組み合わせ条件下で培養し、各培養条件で比増殖速度を比較した。その結果、Euglenaの培養に最適な消化液希釈濃度は、10%であり、最大比増殖速度は、0.047 h-1であった。PPFDの最適値は、約150 µmol m2 s-1となった。また温度の最適値は約30℃であった。pHの最適値については、7~8の範囲であったが、pH3.4の酸性培養液でも高い増殖速度を示した。これらのことから、微細藻は光強度が適正であれば、濃度10~50%の希釈消化液培養液(pH7~8)で増殖を促進できることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

高濃度NH4+でも培養できNH4+-Nを積極的に吸収する微細藻類を用い、NH4+-N濃度を下げるとともに、硝化菌(硝酸菌・亜硝酸菌)を共培養して、NH4+-NをNO3--Nに変換する。藻類の光合成で生成されるO2で、硝化菌の呼吸・代謝に必要なO2濃度を一定レベルに制御し、共培養によるこれら微生物種の協働作用で、効率的・高速でメタン発酵消化液を肥料へと転換する方法を提案する予定である。H27年度は、硝化菌の増殖・活性が最大となる条件探索において、平底試験管(1 mL)を用いて硝化菌を培養し、上記の藻の最適条件を中心に環境条件(NH4+/NO3―濃度、水温、CO2濃度、pH)が、硝化菌バイオフィルムの生成速度、硝酸化成速度に及ぼす影響についても調べる予定であったが、硝化菌バイオフィルムの生成が不十分であり、まだ供試できる状態に至っていない。

今後の研究の推進方策

今後は硝化菌が付着しやすい浮遊担体を用いて、硝化菌バイオフィルムの生成を促進して、硝化菌の増殖・活性が最大となる条件の探索を推進するとともに、培養容器の容量を0.5 L、10 L、50 Lと順次大きくして、環境因子が藻・硝化菌の増殖に及ぼす影響を調査し、順次問題点を解決しながら、最適な高密度共培養システムを構築するため、主に以下の4課題について検討を進める。
1. 培養槽の大型化に伴う槽内環境因子の変動の調査、およびその変動に応じた培養条件の最適化
2. 藻の大量生産に最適な高効率光利用型藻培養システム(薄層培養器法)の開発
3. 藻と硝化菌の増殖安定化を図るための共培養技術の構築
4. 物質循環型藻・硝化菌共培養システムの構築および物質循環の定量・最適化

次年度使用額が生じた理由

硝化菌バイオフィルムの生成速度が予定より遅く、その生成が不十分であり、まだ硝化作用を定量化する実験に供試できる状態に至っていない。

次年度使用額の使用計画

27年度の残予算で、硝化菌が付着しやすい浮遊担体を用いて、硝化菌バイオフィルムの生成を促進して、硝化菌の増殖・活性が最大となる条件の探索を推進する。また28年度予算では、培養容器の容量を0.5 L、10 L、50 Lと順次大きくして、環境因子が藻・硝化菌の増殖に及ぼす影響を調査し、順次問題点を解決しながら、最適な高密度共培養システムを構築するため、主に以下の4課題について検討を進める。1)培養槽の大型化に伴う槽内環境因子の変動の調査、およびその変動に応じた培養条件の最適化、2)藻の大量生産に最適な高効率光利用型藻培養システム(薄層培養器法)の開発、3)藻と硝化菌の増殖安定化を図るための共培養技術の構築、4)物質循環型藻・硝化菌共培養システムの構築および物質循環の定量・最適化

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 1.メタン発酵消化液を養液栽培に適用するための改質処理の検討 -炭酸カルシウム投入によるアンモニアの硝化促進-2016

    • 著者名/発表者名
      遠藤 良輔,前田 全敏,武村 憲二,渋谷 俊夫,北宅 善昭
    • 学会等名
      生態工学会
    • 発表場所
      宮崎グリーンスフィア壱番館 コンベンションホール 宮崎市錦町
    • 年月日
      2016-06-24 – 2016-06-25
  • [学会発表] トマト養液栽培で発生する植物残渣のメタン発酵による再資源化の検討2015

    • 著者名/発表者名
      遠藤 良輔,福嶋 志隆,武村 憲二,渋谷 俊夫,北宅 善昭
    • 学会等名
      生態工学会
    • 発表場所
      明治大学黒川農場 川崎市麻生区黒川
    • 年月日
      2015-06-27 – 2015-06-28

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi