平成28年度は、ワイパー式メモリー水中カメラによるミドリイシ属サンゴの産卵観測と、ドローン(無人航空機(UAV: Unmanned Air Vehicle)によるミドリイシ属とハマサンゴ属サンゴの白化観測を行った。 水中カメラによる産卵観測は、琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設の陸上水槽にコユビミドリイシAcropora digitiferaを移植し、実施した。平成27年度と同様にコユビミドリイシの産卵は午後10時頃より産卵がおこること等が明らかになった。 また、7月下旬から9月上旬にかけて、同研究施設地先の海域にて、水中カメラによるハマサンゴPorites sp.とハナバチミドリイシAcropora cythereaの連続撮影を実施した。同期間の海水温の平均は約30度だった。撮影された画像より、サンゴの体色をRGB値(R、赤:G、緑:B、青)等により解析した。R、G、B値は、それぞれ0~255の値で変化し、R=G=B=255で白に、R=G=B=0で黒になる。その結果、ハマサンゴの体色は観測期間中、ほぼ一定であったが、ハナバチミドリイシの体色は徐々に白色方向に変化した。 ドローンにより、6月から10月にかけて、瀬底研究施設地先のサンゴ礁域を撮影した。撮影した画像をもとに、パノラマ合成ソフトによりサンゴ礁の二次元画像を作成した。その結果、テーブル状のミドリイシ類の大型個体は、8月上旬に中心部より白化が始まり、9月上旬には大部分は白化したが、塊状のハマサンゴ類の大型個体の大部分は9月上旬でも白化しなかったこと等が明らかになった。
|