研究課題/領域番号 |
15K12264
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
国友 和也 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30373806)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化鉄 / 水素 / 木炭 / 還元 |
研究実績の概要 |
本研究は、酸化鉄を非化石燃料である木炭により還元して酸素と反応しやすい活性な金属鉄を得て、その活性金属鉄を輸送・貯蔵後、水と反応させて酸化して所望の場所・タイミングで水素を得る技術に関するものであり、酸化鉄、水および非化石燃料から水素を得る、いわゆる”エネルギーコンテナ技術”の社会的応用利用の可能性を見極めることを目的として実施している。平成27年度は、主に「酸化鉄の還元過程」に関して、炭材と酸化鉄含有物質の反応を経て得られる金属鉄の再酸化性を最大にする条件について実験・解析を行った。具体的には、仮焼後のピソライト鉱石粉末及びヘマタイト試薬と木炭との混合物からなる炭材内装タブレットの還元、再酸化挙動の調査を行い、還元後試料の再酸化速度はピソライト鉱石がヘマタイト試薬を上回る事が確認された。これはピソライト鉱石中の結晶水の分解による空孔の形成に起因すると考えられ、ピソライト鉱石が本研究の原料酸化鉄に適していると判断された。また、還元温度による還元後試料の再酸化速度は1000℃還元試料が1100℃還元試料を上回る結果となり、同試料ではより低い還元温度で還元を行うことが再酸化性の高い還元鉄を得られると考えられた。再酸化後の資料解析の結果、この結果は、高温還元条件下における生成金属鉄の焼結の進行による表面積の低下に起因すると結論付けられた。以上の知見より、今後の水素発生反応過程の研究においては、ピソライト鉱石の1000℃還元試料を中心に検討することが方向づけられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね、当初計画通りに研究は進捗しており、平成28年度は予定通り、「水素発生反応過程」に関する研究に取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
「水素発生反応過程」に関して、適切な条件で製造された活性金属鉄と水もしくは水蒸気との反応させることにより、水素への転換速度やその速度を最大化する条件について実験的に明らかにするとともに、総合的な解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験用試料の作製が想定していたものより困難であったため、実験用試料の作製に予定よりも時間がかかり、予定していた再現実験等の回数が少なくなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験用試料の作製法が確立したため、今年度は昨年度予定していた再現実験等も行うために、前年度の未使用額を使用する。
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