本研究は、デザイン、組み立て、部品製造、資源供給といった異なった役割を異なった国が果たしている典型的な例としてスマートフォンのiPhoneを取り上げ、各企業への個別調査と世界多地域間産業連関分析を組み合わせることで、経済、社会、環境、資源という4つの側面をライフサイクル全体で解明することを目的としてきた。具体的には、どの国がその生産過程を通じて、1. どのような付加価値を提供しているのか、2. どの程度の労働者数を提供しているのか、3. どの程度の環境負荷を排出してきたのか、最後に、4. どのようなレアメタルや他の資源を提供してきたのかを網羅的かつ詳細に解明する。ただし、これまでの研究により、個別企業数社と多地域間産業連関分析のみでは目的に沿った充分な結果を得ることが難しいことが明らかになった。 昨年に考えた枠組みを具体的なデータに適用するために、企業レベルのデータ収集や環境負荷データの収集を行った。本研究のみでは、目標達成は困難だが、今後、このデータを利用して、引き続き、目標の達成を図る。 ただし、一部の成果は、論文として公表した。具体的には、Journal of Industrial Ecology紙並びにEnvironmental Science & Technology誌に論文を発表した。また、研究費により、一部発表論文をオープンアクセスにて公表することで、多くの人がアクセスできるようにした。
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