組換えRalstonia eutrophaによる二酸化炭素からの生分解性共重合PHAの合成を最終目的とし、Pseudomonas sp. 61-3由来の低基質特異性PHA重合酵素(PhaC1)および(R)-3-ヒドロキシアシル(3HA)-ACPチオエステラーゼ(PhaG)、Pseudomonas aeruginosa由来の(R)-3HA-CoAリガーゼ(PA3924)、Ralstonia eutropha由来の(R)-3-ヒドロキシブタン酸(3HB)ユニット供給系酵素(PhbAB)の全遺伝子を大腸菌およびR. eutrophaに導入した組換え株を作製し、脂肪酸合成経路を介した共重合PHAの合成を試みた。組換え大腸菌はグルコースから中鎖長3HAユニット(炭素数8~14)を含むP(3HB-co-5.4% 3HA)共重合ポリエステルを合成した。この系をR. eutrophaのPHA重合酵素遺伝子破壊株に導入したところ、フルクトースを唯一の炭素源としてP(3HB-co-6.2% 3HA)を8.6 wt%で合成した。さらに、導入遺伝子発現におけるプロモーターについて検討したところ、phaC1遺伝子をR. eutrophaのP(3HB)オペロンのプロモーターで発現させるとPHA蓄積率が高くなり(15.2 wt%)、Pseudomonas sp. 61-3のphaC1遺伝子本来のプロモーターで発現させるとPHA鎖中の3HA分率が高くなった(9.2 mol%)。作製したR. eutrophaの組換え株を二酸化炭素を炭素源とした独立培養を行った結果、PHAは数wt%しか合成されなかった。
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