本研究「原子力災害被災地におけるコミュニティ・レシジリエンスの創造」は、サステナビリティの4本柱である環境的・社会的・経済的・制度的持続性と、適応力としてのコミュニティ・レシジリエンスの3つの基本要素である資源性能、資源バックアップ、資源多様性とを組み合わせた理論モデルを仮定し、福島復興の実地調査からその理論化と指標化にアプローチした。 平成27年度(2015年度)は、福島地域の市民社会組織などと協働した原子力災害地域における復興状況調査や関連する研究者との研究会における議論を通じて、原子力災害被災地における持続性とレジリエンスとの関連性について検討を行った。 平成28年度(2016年度)の研究では、福島復興の過程におけるサステナビリティとレジリエンスとの理論的関係と指標設定について具体的に検討し、国の行政機関、地方行政組織や民間非営利組織との連携関係を構築し、2017年3月に福島県広野町に早稲田大学環境総合研究センターの地域リサーチセンターとして「ふくしま広野未来創造リサーチセンター」を設置した(センター長は研究代表者・松岡)。 平成29年度(2017年度)は、ふくしま広野未来創造リサーチセンターの調査活動を具体化することにより、本研究の最終年度のまとめを行うこととした。このような観点から、既存の場とは異なる地域の多世代交流の 「場」として、ふたば未来学園の高校生も含めた「第1回ふくしま学(楽)会」を2018年1月に広野町で開催し、福島復興における新たな知識創造の「場」の形成を進めた。 リサーチセンターの設置とふくしま学(楽)会の開催の経験から、「原子力災害被災地におけるコミュニティ・レジリエンスの創造」は、マルチ・アクターによる場の形成と社会的受容性の醸成が鍵となることが明らかになった。
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